2010.8.23 ワールドビジネスはてサテライト

世界通貨安戦争 第一幕

■相次ぐ“容認”発言
景気が持ち直してきた日本を襲う円高。今月、ついに1ドル84円台に突入。1995年以来の円高水準。円を基準として主な通貨の動きを見ると、今年初めからドルは8%、ユーロは18%も安くなった。弾力化で切り上げが進むと見られた中国人民元に対しても7%安と円は高くなっている。しかし

ユーロ圏財務相会合 ルクセンブルク首相 ユンケル議長
「現在のユーロの水準には疑念を抱いていません」

FRBバーナンキ議長
「経済の先行きは異例なほど不確かだ。アメリカの潜在成長力を引き出すため、さらに政策を打ち出す用意がある」

海外の首脳からは自国の通貨安を容認し、さらには通貨安を促す発言が相次いでいる。1929年の世界大恐慌。輸出による利益を増やそうと各国はこぞって切り下げによる通貨安を目指した。結果的に貿易は縮小。その後の「ブロック経済」は第二次世界大戦の引き金になった。それから80年、各国が通貨安を志向するなか、世界は再び通貨切り下げという名の戦争に突入するのだろうか。
■きっかけはトロントG20!?

小谷真生子 キャスター
今の円高はどういったものが原因でしょうか?


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
いくつかの要因があるが、直近でシンボリックな意味を持つのは6月にトロントで行われたG20サミットが1つの象徴。日本で注目されたのはサミットにおけるヨーロッパ及びアメリカにおける財政赤字の削減という公約。日本は厳しい財政赤字削減に乗ることができなかったので例外扱いとされた。
ではなぜそれが円高に繋がってるかというと、アメリカもヨーロッパも財政赤字削減による国内需要の落ち込みを補うために金融を緩和気味にして通貨安を容認しているのではないかという観測がマーケットに強まった。


日本格付研究所 内見孚
財政再建ということで金融緩和したというのはその通りだが、それが意図的な通貨安政策かというとそれはそうじゃない。

■通貨安 各国の事情

小谷真生子 キャスター
欧米で結束の固いコンセンサスが取れているような感じはありましたよね。


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
そこの場合重要なのは内需と外需のバランスの議論。内需についてある程度内向きの政策をする分、通貨を安くすることによって外需の競争条件を良くしたいと思うのが政策当局の基本的スタンス。


日本格付研究所 内見孚
それは僕は意見が違うのだが、金融政策を緩和していかなきゃならないのは国内的な状況から見て財政をしめる以上、金融の方である程度お金を供給してうまくやっていかなきゃいけないというのはある。為替市場の動きというのは、リスクのあるところからどうプレッシャーをかけるか。つまりまずギリシャの危機に始まってユーロへの不安が高まりユーロが下がる。ユーロ圏の人たちは、ECDの総裁がやっぱりユーロが弱くなったことについては相当な懸念を持っている。
今度は米国のほうで今月の10日、FRBで先行き不透明ということで追加緩和策が出た。そうすると今度はドルが売られる。というように次々とリスクがありそうなところを売っていくという動きの中で、ユーロ圏もアメリカもちょっと間違えたらお金が逃げていっちゃう、あるいは入らなくなっちゃう。そうすると株安債券安というトリプル安の地獄と紙一重のところがあって、ユーロ通貨を意識的に安くしようという余裕は到底ないですよ。


東京大学大学院教授 伊藤元重
金融政策というのは金利を下げるなど結果的に通貨を下げるメカニズムがある。通貨を下げるためだけにやってるのではなく、全体の基調としてアメリカも欧州も金融緩和の動きが出てきてそれが結果的に安くなっていてそれを容認しているだけ。


日本格付研究所 内見孚
容認というか、少なくとも今のレベルでは心配をしていないということですよ。それは通貨安の政策だと取るのは間違いだということです。


小谷真生子 キャスター
一方で通貨の信認が揺らぐであろうと心配しながらも、この方向で行けば少なくとも輸出のほうにはメリットがあるわけですよね。


日本格付研究所 内見孚
今の日本の状態見ると、なぜ円に来るのかというのが一番の問題のポイント。


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
円高が進んだ場合の日本が直面する問題点としては、正直言って春先からの動きというのは薮から棒という感じで、普通の企業の経営者にとって想定しない円高が対ドル、対ユーロで進んでることが問題。するとデフレが進行し、その結果企業の海外移転が加速し、そして雇用が減少してしまうという非常に悪いサイクルに日本の経済が入りつつあるのではということをみんなが心配している。結果的に日本の株も下がってしまうということで、今の円高が持ってる悪循環を我々は直視する必要がある。


小谷真生子 キャスター
円高が進行するとこういった3つの問題点がもっと浮き彫りになるだろうと、それについてはどう思いますか?


日本格付研究所 内見孚
円高がさらに進むとおっしゃるような問題が生じる可能性は十分ある。ただ僕は為替市場を見ると、なぜ円にお金が入ってきてるのか不思議なんですよ。金利から見てもこれ以上緩和できない、これ以上金利下げできないところに来ている。
経済のパフォーマンスから見ても特に財政状況なんてギリシャより悪いくらい。そして政治はこういう混乱状態。だからこんなに日本にお金が入ってくる積極的な理由がないので、今動いてるのはヘッジファンドとか中国のお金が短期で入ってきてる。だけどこのままどんどん行くっていう地合いじゃないと思っています。

■なぜ円は買われるのか?

東京大学大学院教授 伊藤元重
ただそのなかでデフレスパイラルの話で、先が暗いからモノが売れないと、企業もしぼんでしまうと、それが株価も下げるし金利も下がってきてるというサイクルの中に、為替にも入ってきちゃってるんですよね。実態としてはよくないかもしれないですが、心理的インパクトが大きいですから、そういう意味では為替も含めたデフレスパイラルみたいなものを考えていかないといけない。


小谷真生子 キャスター
強いドル発言というのは歴代のアメリカ大統領がおっしゃっていたように記憶してるんですが、オバマさんは強いドルとはおっしゃってませんよね?


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
基本的にはドルが安定的な格好というか、ドル安が加速するような格好にならなければドル安を容認しているんだろうと思う。理由は極めて単純で、1月の一般教書演説でオバマさんは何と言ったでしょうか?「向こう5年間にアメリカの輸出を倍増する」というふうに言っております。
アメリカの製造業やサービス業が競争力を増すことは重要だが、やはりドル安になってくれたほうがその政策をサポートするというふうに考えているからで、だから強いドルを望むということを大統領及び財務長官はこの局面では言ってないんだろうと思います。


日本格付研究所 内見孚
そうかなぁ、僕は強いドル発言というのは1995年にルービン財務長官が、それまで円高カードを振りかざして日本に圧力をかけてその結果80円を割るような円高になったわけですからね。だけどそうなったらアメリカの通貨が円以外の通貨に対しても弱くなる。債券安株安。それで突如介入せざるを得なくなった。
それ以降、ブッシュ政権もずっと「強いドルはアメリカの国益」と言い続けてますが一度も介入していませんよ。空手形みたいなもの。オバマ政権になったからそれが変わったというふうに考える必要はない。ユーロが非常に下がった時にアメリカは場合によっては介入するようなムードになりかけたこともありますから、意外と民主党政権のほうが行動を起こす傾向がありますよ。


小谷真生子 キャスター
滝田さんは円高はどこまで進むと思いますか?


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
これはもう弾みの問題だと思います。要するにこの水準で留まる可能性ももちろんありますし、一つリスクがあるとすれば輸出企業が浮き足立つという心配。前倒ししなくてもいい先物ドル売りを加速させてしまうと自己実現的に1ドル80円突破するリスクもある。全てはこれから打ち出さる政府日本銀行の対策にかかっている。


日本格付研究所 内見孚
基礎的な地合いからして円がどんどん強くなっていくとは僕は考えにくい。


東京大学大学院教授 伊藤元重
おそらく壁があると思うんですね。高くても最高の80円というのがある。そこを超えてしまうと大変なことになる。

  

世界通貨安戦争 第二幕

■介入?それとも…

日本経団連 米倉弘昌 会長
円高は厳しい状況にある」

パナソニック 上野山実 常務
「予測するのは難しいですが、対応していくしかない。コスト圧縮とかですね」

ソニー 加藤優 CFO
「大体900億円ぐらいのインパクトが年間では想定される」

悲鳴を上げる大企業。想定為替レートは平均1ドル90円で、今の円高は遥かにそれを超えている。そこでにわかに期待が高まっているのが為替介入。かつて日本政府は総額35兆円にのぼる歴史的に大規模な円売りドル買い介入を実施した時期があった。それを陣頭指揮し、ミスタードルとの異名をとった当時の溝口財務官は。

溝口善兵衛 元財務官 (04年9月 退任後の会見)
「日本経済が悪い中での円高。デフレ脱却に対してマイナスな影響を及ぼすから介入した」

もっとも、大規模介入をもってしても円高トレンドは変わらず、その評価は分かれている。そしてもう一つ、円高対策として期待されてるのが日銀による追加金融緩和。世の中に出回る円を増やすことで相対的な価値を下げるというアプローチ。こちらも効果は未知数。

野田財務大臣
「特にマーケットの動きを注意深く見てほしいとのことだった」

これまで無策と批判されてきた政府日銀。介入や追加緩和に踏み切るべきなのか。それとも他に取るべき手立てが――
■為替介入はできる?効く?

小谷真生子 キャスター
今この局面において介入すべきでしょうか?


日本格付研究所 内見孚
今は介入できる環境じゃないんじゃないですか。どこの国も比較的静かで自分の経済もそんなに余裕がない。なぜここで円が介入するのか、国際的にもなんとなくそれはやりにくい。一方、過去において120円を超える円安のとき日本は何もしていないんですよね。
日本は為替の安定が必要な国だよと認識させるためにはドル売り介入やっておくとか、そうすると日本はそういう国だからある程度そういう理解も得やすいところもある。そういうこともしないで突如今介入というのはなんとなくやりにくい。


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
まったくその通りじゃないでしょうか。ちょっと難しいと思います。

円高でも大騒ぎは不要!?

内見孚氏の提言
円高がさらに大中に進行する地合いは考え難い。過度に動揺することでむしろ企業の空洞化を招くことの方がこわい。


日本格付研究所 内見孚
1995年、80円を割るような円高になったとき日本の企業はなだれを打ってアセアンに直接投資した。そのあと円が戻って105円から弱くなったときに、出て行った企業は成り立たなくてみんな大損して帰ってきた。そういうこと考えるとやっぱり、官民共にあんまり動揺しないことが大事。

滝田洋一氏の提言
象徴的な金融緩和と企業の体力増強支援


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
あまり良い知恵があるわけじゃないが、あえて言えばシンボリックな金融緩和政策ということになる。なぜなら金融政策と為替政策が非常に密接な関係にあるというのが世界的に通説的見解だからそれに合わせるような行動が必要。
もうひとつは企業の空洞化がこの局面で進むことは望ましいとは思えないのでそれを防止するための政策が必要。具体的には法人税率の引き下げ。日本で企業に対して課している高いコストを安くしないことには円高とのダブルパンチになるから雇用に悪い影響が出る。


小谷真生子 キャスター
今、日銀が金融緩和策を打って効くとお考えですか?


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
政府が行うであろう経済政策との関係にもよる。政府日銀が一体的になって「円高に対して望ましくない」というメッセージを発していることをマーケットに伝えることができるなら一定の効果がある。一つだけ挙げるとすれば、昨年の11月にドバイショックというものがあって円高が加速した。その直後に日本銀行がシンボリックな意味で金融緩和をやっている。それは相当マーケットに効果を与えている。シンボリックな象徴的な意味合いを強調したい。

伊藤元重氏の提言
強いメッセージ


東京大学大学院教授 伊藤元重
ちょっと見過ぎなのかもしれませんが、今の日本は政府も日本銀行もこういうマーケットが非常に荒れてる時に何もしてないんじゃないか。あるいは後手後手に回ってるんじゃないだろうかと、当事者はそう見ていないかもしれないがマーケットはそう見ているのは間違いないだろう。さきほどの介入の話も、確かに介入をやっても効果はないかもしれないが、なんかあれば介入するかも知れないというメッセージを発するようなことは重要。

■日本がとるべき政策は?

小谷真生子 キャスター
しないだろうなとマーケットが読むよりかは、何かあったらもしかするとそういうこともあるのではないかと。


日本格付研究所 内見孚
介入はいつでもやる構えというのは捨ててはならない。これは一種の心理戦争。


東京大学大学院教授 伊藤元重
中央銀行についてはバーナンキさん、アメリカもやっぱりたいしたことやってなくても非常に緩和するというメッセージが出てきている。日本の銀行の方は真面目なのかもしれないがやってる割にはあまりメッセージが伝わってこない。そういう意味では為替とか今の市場というのは心理戦争的なところがあるのでそこははっきりしてほしい。


小谷真生子 キャスター
今日は菅さんと白川さんの会談があったということですが、仙谷さんのさきほどの会見のお話だと特にこう目立って取り上げるような材料もそう見当たらないですよね。


日本経済新聞社 論説副委員長 滝田洋一
実際にどういう会談をやっているのかは当事者じゃないのでわからないが、相当重要な話を突っ込んだ格好でやってる可能性はあると思う。まさに刀を抜くまで刀を研いでおくというのは常道だから十分ある。もし本当に何もなかったとするとその時は相当高いツケの支払いを政府も日銀も企業も我々も払わされることになる。


小谷真生子 キャスター
内見さんは、今はどーんと構えて静観せよとおっしゃってましたが、政府が今の段階で出している追加経済対策は十分でしょうか?


日本格付研究所 内見孚
為替市場への影響という意味では特に期待するようなものではない。円高で問題が起こってる経済をどうやって強化するかという意味での対策でしょう。やはり政策としてどしっとしたものを打ち出せる安定政権の確立、それに基づいて腰を据えた政策を打ち出してくるのが待たれる。バタバタすることはない。

  

スマートフォン市場に新勢力

■ドコモでもiPhone4?
東京都内で開かれた記者会見。

日本通信 三田聖二 社長
マイクロSIMSIMロックフリーのアイフォーン用に発売することを決めました」

日本ではソフトバンクが取り扱い、他社が使えないようSIMロックがかけられているiPhone4。日本通信が販売を始めるこのカードを挿し込むと、画面にはNTT DOCOMOの表示が。実はこのiPhone4はSIMロックがかかっていない海外版。日本通信NTTドコモの回線網を借りて通信サービスを展開しているMVNO。そのためiPhone4をドコモの海鮮で使えるようになる。

日本通信 福田尚久 専務COO
「ドコモの携帯電話がつながるところであればどこでも利用ができる。(DOCOMOの)素晴らしいネットワークで使うとこんなに良いんだと、できるだけ多くのお客様に体感していただきたい」

月額利用料は通話と通信を合わあせて6,260円。海外のiPhone4を入手する必要があり、コスト面での優位性を打ち出すには至っていない。

日本通信 三田聖二 社長
「消費者の選択がバリアーなしに広がった。消費者が欲しいのであれば日本だけでなく海外からも提供してもらえる」

ベンチャーにもチャンスが…
大阪にスマートフォン市場へ参入しようとしているベンチャー企業が――

アールストリーム 小島徹也 社長
「こちらが日本通信さんがわれわれ向けに発行したSIMカードです。こちらをこの端末に入れることでデータ通信と通話ができるようになります」


アールストリームが独自に開発したスマートフォン「R stream A1」(10月発売予定)。通信は日本通信の回線を利用し、端末はIP電話ソフトを搭載したアンドロイド携帯端末。基本使用料は月4,980円で、通話料は1分18円と格安。品質や機能面はどうか――

アールストリーム 小島徹也 社長
「台湾に何度も足を運びフォックスコンさんと交渉をして今回の契約に結びつきました」

端末を製造するのはアイフォーンなどの生産を請け負う台湾の電子機器メーカー、フォックスコン。大手に対抗できる端末と通信インフラを揃えたことでショッピングセンターなど法人をターゲットに売り込む。販促や業務支援のアプリケーションも提供し、3年間で10万台の販売を目指す。

アールストリーム 小島徹也 社長
「非常に市場が変化してきている。その中で我々のようなベンチャーでも工夫次第でニッチなマーケットに打って出ていくことによってチャンスは十分にあると思います」

今後大手の量販店が海外製スマートフォンを独自に調達して販売するという見方もある。消費者の製品選びも多様化しそうだ。
スマートフォン「新顔」で市場は?

小谷真生子 キャスター
スマートフォンで垣根がなくなりつつあるのをどうご覧になりますか?


東京大学大学院教授 伊藤元重
世界的にはそういう傾向だろう。通信でやり取りするものと機械が同じものでなきゃできないというのはある意味おかしい。日本ではたまたま戦略でそうなったのだが、海外ではそうではないので必ずこういう形で入ってくる業者もいる。こういうことで結局競争が高まるので消費者とすれば非常に良い。今まではSIMフリーということでこのメーカーでなければできないという形でやってきたビジネスは挑戦を受けるでしょうね。スマートフォンだけではなく様々な通信機器がこれからそうなってくる。

FLASH NEWS

三菱商事と生産協力
イオンはカジュアル衣料品の新しい自社ブランドを今月下旬からジャスコなどで販売すると発表。新ブランドの商品開発は新たに設立したグループ会社が一手に担い、製造の一部は三菱商事と協力していく。デザインなどを見直し不振が続く衣料品事業を立て直したい考え。
■スーパー売上高 7月もマイナス
日本チェーンストア協会が発表した7月のスーパー売上高は、1年前と比べて1.2%減少し20ヵ月連続のマイナス。7月後半からの猛暑により飲料やアイスの売上げは伸びたものの依然として節約志向が根強く、猛暑の効果も及ばなかったと見られる。
■「3年後に衆参ダブル選挙」
菅総理大臣は当選一回の議員と意見交換し、挙党態勢の構築を目指す考えを示し党の代表選挙での支持など協力を求めた。その上で菅総理は「3年後に衆参ダブル選挙をやればいい」と述べ、早期に衆議院を解散せずに2013年に衆参同日選を実施したいとの考えを示した。選挙基盤が弱く早期の解散総選挙を嫌う新人議員などの取り込みを狙ったと思われる。

トレンドたまご

■「七色」の舞

今子どもたち楽しんでるんですが、実はこれ簡単に虹が作れるというものなんです。どうしてこんなに綺麗に虹が作れるんでしょうか。

はちみつクリエイト 田中義之 社長
「こちらなんですけど、もとは園芸用の噴霧器なんです」

虹は空気中の水滴に太陽光が屈折・反射して発生する自然現象。細かい水の粒子を一定の時間出し続けることができる園芸用の噴霧器を使って虹を人工的に作ってるんです。ノズル部分は水滴が上に噴射されるように角度がついています。

はちみつクリエイト 田中義之 社長
「こちらは1本1本“万力”を使って心を込めて曲げています」

田中さんはもともとおもちゃを扱う商社の営業マン。自分で商品を企画したいという想いから15年勤めた会社を辞めて今年4月に独立。これは第一号の商品。市販の噴霧器に手を加え一つ一つ手作業で仕上げています。6月にインターネットで売り始め現時点で160個販売した。

はちみつクリエイト 田中義之 社長
「実際に買っていただいてご家族で虹を楽しんでいるという喜びの声が、インターネットの販売を通じて伝わってくるのがすごく励みになっています。気持ちとしては年間で3,000個ぐらい販売できたら嬉しいです」

アメリカの経済動向

■経済にドル安の恩恵は?

米国 野村証券 雨宮愛知
6月の貿易赤字が先月から大きく拡大するなど、米国経済に対するドル安の恩恵ははっきりとした形では現れていません。その理由は中国人民元など新興国通貨に対するドルの調整がそんなに進んでいないことが挙げられます。過去10年間の為替レートの動きを見ると日本円やユーロなど先進国通貨に対してはドルの下落が起きているものの、中国など新興国通貨に対してドル安はそれほど進んでいません。
今年7月米財務省は中国を為替操作国に認定することを見送ったが、一部の民主党議員はこれに強い不満を持っており、中国製品に対して新たな関税を課す法案の提出を準備していると言われています。あるシンクタンクによると中国との貿易の影響により2001年以降、240万人の国内雇用が失われたと推定されています。
先進国通貨に対するドル安が進んでも、新興国通貨に対してドルの調整が行われない限り、アメリカ経済に対するドル安の恩恵は乏しいものになるでしょう。

■世界のマーケットの行方は

小谷真生子 キャスター
自国通貨が安くなって自国経済に目に見える形で反映されるにはどのぐらいの時間が必要でしょうか。


東京大学大学院教授 伊藤元重
これは何を見るかなんですよね。例えば今ドル安になってアメリカの貿易赤字が減るじゃないかという見方がありますが少なくとも大学ではそう教えない。普通は2年ぐらい時間がかかる。どうしてかというとドル安になると確かにアメリカの輸出量は増えるんです。しかし輸入するためにドル安だから沢山お金を払わなければならない。
だから確かに輸出の量は調整するんだけどそれでも為替が動くことによるドル安効果の輸入コスト高というのは遥かに出ちゃいますから、2年3年すると価格が浸透して今度は量が動くのでそこで貿易が変わってくる。これをJカーブ効果(J-curve Effect)と言うんですね。だから今仮にドル安になったからと言ってアメリカの貿易収支がすぐに黒字になるということは考えられない。
ただしアメリカの企業に対する業績だとか、そういうことに関して特に輸出企業はドル安の効果がありますから、今回のドル安がアメリカにどのように恩恵をもたらしているかを見るためには貿易収支ではなく企業の業績だとか雇用とかそういうところで見るべきですね。

  

LAST FLASH

■貨物輸送大幅に時間短縮
全日空グループのOCS(海外新聞普及)は、日本各地からアジアへの貨物を翌日に配達できるサービスを来月から始めると発表。日本各地から羽田空港に集められた貨物は深夜に那覇空港に輸送され、翌日の早朝に上海やバンコクなどアジア5都市に届けられる。羽田空港内で税関の手続きができるようになり、配送体制も見直したことで従来よりも最大で24時間程度短縮できるという。
■新たに4区間を了承
国土交通省社会資本整備審議会は来年度、国が新たに高速道路など4区間を整備することを了承。総事業費は1,460億円で、事業強化の結果アクセスの向上などの効果がコストを上回ると判断された。これまで道路事業の是非について審議会に図ることはなく、公共事業を決定する過程の透明性を高める狙いがあるものと見られる。
■10時間ぶり人質救出
フィリピン首都マニラで昨日、香港からきた中国人の観光客を乗せたバスが元警察官の男に乗っ取られた。男は乗客を人質にとって立てこもり、抵抗を続けていたが日本時間の午後10時前、警官隊がバスを取り囲み犯人の男はその場で射殺された。
■家電製造販売を検討
中国の自動車メーカーBYDが家電製品の製造販売に向けた検討を始めた。販売開始の時期や生産品目については明らかになっていないが、昨日行われたBYDのアナリスト向けの説明会で担当者は「エアコンや炊飯器を検討している」と話した。
■中国減産で伸び鈍化
世界鉄鋼協会がまとめた7月の世界粗鋼生産量は1年前と比べて9.6%増え10ヶ月連続のプラスとなったが、9ヶ月続いた二桁のプラスとはならなかった。日本やアメリカなどの先進国は大幅な増産だったが世界最大の生産国である中国の伸びが鈍化したことが影響した。

エンディングテーマ 夜の果て/JUJU




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